使用予定のない土地や距離的な関係などで管理が大変な土地を相続しなければならない場合、「相続放棄」や民間の不動産業者などを介して「売却する」という選択肢が考えられます。
しかし、「相続放棄」をする場合では土地だけではなく全ての財産を放棄しなければならない、また、「売却する」場合は必ずしも買い手が現れるとは限りません。
このように、土地利用ニーズの低下等により、土地を相続したものの土地を手放したいと考える人が増加していることや、相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しており、管理の不全化を招いています。
○土地問題に関する国民の意識調査(出典:平成30年度版土地白書)
土地所有に対する負担感
負担を感じたことがある又は感じると思う 約42%
○令和2年法務省調査
土地を所有する世帯のうち、土地を国庫に帰属させる制度の利用を
希望する世帯 約20%
こうしたことを背景に、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により取得した土地を手放し、国庫に帰属させることができる制度が令和5年4月27日から開始されました。この制度が「相続土地国庫帰属制度」です。これにより、将来的の土地が所有者不明化し、管理不全化することを予防することが可能になると考えられています。
土地を国庫に帰属させるにあたり、管理コストの国への転嫁や土地の管理をおろそかにするモラルハザードが発生するおそれを考慮して、一定の要件を設定し、法務大臣が要件について審査を実施します。
(1)土地の要件
通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地は不可です。
(2)負担金等
土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した10年分の土地管理費相当額の負担金の納付が必要です。
※その他申請時に、審査に要する実費等を考慮して政令で定める審査手数料の納付も必要です。なお、この審査手数料は不承認の場合でも返還されません。
最終的に国庫に帰属した土地は、普通財産として国が管理・処分します。
主に農用地として利用されている土地、主に森林として利用されている土地の場合は農林水産大臣が管理・処分をし、それ以外の土地の場合は財務大臣が管理・処分するとされています。
手続イメージ
①承認申請
申請権者は「相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地を取得した者」です。
相続等以外の原因(売買など)により自ら土地を取得した人は基本的に、この制度は利用できません。
※審査手数料を納付する。不承認の場合でも返還させません。
※共有地の場合は共有者全員で申請する必要があります。
②法務大臣(法務局)による要件審査・承認
・実地調査権限あり。
・地方公共団体等に対して、情報提供を求めることができる。
③申請者が10年分の土地管理費用相当額の負担金を納付
④国庫帰属
「制度概要」については以上です。
では、その②では「申請権者の具体例」を紹介いたします。
「相続土地国庫帰属制度の承認申請業務」についてのお問合せはこちらからお願いいたします。
参考・引用:法務省「相続土地国庫帰属制度」
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