遺言書を作成する際、誰にどの財産を渡すかという「法的効力」のある内容(法定事項)と同じくらい大切なのが、「付言事項」です。
相続実務の現場では、この付言事項があるかないかで、相続人の納得感やその後の親族関係が大きく変わることがあります。今回は、円満な相続を実現するための付言事項の活用法を解説します。
1.付言事項とは?
付言事項とは、遺言書の中で「遺産分割の方法」以外に遺言者が家族に伝えたいメッセージを記す部分のことです。
法的拘束力(強制力)はありませんが、「なぜこのような分け方にしたのか」という理由や家族への感謝の気持ちを伝えることで、相続人の心情に訴えかける重要な役割を果たします。
2.付言事項を書く3つの大きなメリット
①遺産分割の「理由」を伝え、争族を防ぐ
例えば、「長男に自宅を継がせる代わりに、二男には現金を多めに渡す」といった偏りがある場合、理由が不明だと不満が生じやすくなります。「長男は長年同居して介護をしてくれたから」といった経緯を記すことで、他の相続人の理解を得やすくなります。
②遺留分侵害額請求の抑制
特定の相続人に多くの財産を遺す場合、他の相続人から「遺留分(最低限もらえる権利)」を請求されるリスクがあります。付言事項で「家族の絆を大切にしてほしいので、遺留分の請求は控えてほしい」と真摯に呼びかけることで、法的紛争を未然に防ぐ心理的な抑止力となることが期待できます。
③家族への最後のメッセージ(感謝の言葉)
「これまで支えてくれてありがとう」「兄弟仲良く暮らしてほしい」といった言葉は、残された家族にとって何よりの心の支えとなります。事務的な書類である遺言書に「温かみ」を加え、円満な相続を後押しします。
3.書く際のポイントと注意点
具体的かつ前向きに:
過去の不満や恨み言を書くのは逆効果です。あくまでも「これからの家族の幸せ」を願う内容にすることが望ましいです。
簡潔にまとめる:
長すぎてしまうと肝心の法的事項がかすんでしまうため、A4用紙1枚程度に収まるボリュームが理想的です。
まとめ
遺言書は単なる「財産処分の指示書」ではありません。付言事項を添えることで、あなたの「真意」が家族に伝わり、争いのない相続へと導くことが期待できます。
また、付言事項は自筆証書遺言でも公正証書遺言のどちらの形式でも記載可能です。弊所では、公正証書遺言での作成をお勧めしております。
大切なご家族のために、法的なルールに則った内容とともに、あなたらしい「言葉」を遺してみてはいかがでしょうか。
弊所は、遺言書作成サポートと一緒に付言事項の作成もサポートいたします。ご不安やお悩みがありましたら、是非お問い合わせください。
著者について